7 ページ7
.
目覚まし時計なんて物はない。
ましてや、携帯なんかのアラームも。
体内時計で、勝手に目覚める朝の5時。
ミシミシと音が鳴る、
木で出来た階段を降りて
まず最初に目がいくもの。
それは
.
.
余程暑かったのか、Tシャツを脱ぎ捨て
手と足を大きく広げて
上半身裸でスヤスヤと眠る男の姿だ。
.
.
「…爆睡かよ。」
.
.
その男を横目に通り過ぎて、
洗面台で顔を洗い、歯を磨き、
ある程度の身なりを整える。
薄暗い朝焼けの光が
窓から差し込む頃合いに、
「…今日は、枝豆と梅を使おう。」
.
朝食の支度と、
ついでに仕事の合間に自分が食べるお弁当を
作り始める。
.
.
.
「…でーきた！」
完成した彩り豊かなお弁当と、朝食。
不揃いな食器に盛られたおかずと、
去年収穫した、白いお米を茶碗に、
永瀬『…えっ！！』
「ぅわっ！！…び…っくりした」
危なっ…
後ろから突然声がしたもんだから
危うく、お茶碗を落としそうになった。
「…おはようございます。」
永瀬『……ぉざます。』
目を擦りながら突っ立っている男。
まだ寝足りないなら、寝てても良いのに。
あ、それとも、暑過ぎたか？
「…うち、クーラーが無いから暑かったですよね」
永瀬『…んや…うん。…ちょっと暑かったっすね。』
“気付いたら脱いでました”
と、汗だくになった顔を、
恥ずかしそうに笑いながら服の袖で拭いていた。
「もしよかったら朝ごはん食べ」
永瀬『食います！！』
「…ふふふっ、…はい。」
.
汗でベタついた肌が気になると言い、
朝からまたお風呂に入り、
そして出てきた男は、
居間のテーブルに並べた朝食を見て
これまた嬉しそうに笑った。
.
永瀬『…ぁああ〜、この米、何倍でも食える。』
「良かったです。」
永瀬『これ、俺の好きな固さっすよ。』
「はー、…そうなんですか。」
.
お箸を持つ左手は止まる事なく
喋れなくなる程、
口の中を沢山の米でいっぱいにしていた。
普段、人に食べてもらう機会が少ない。
.
だからなんだか、
とても不思議な感覚だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
