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永瀬『てか、行く。』
「…ちょ、…は？」
廉は急に立ち上がり、
そして私の隣にしゃがんで座る。
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永瀬『ほら、もっとそっち寄って。』
「…いや、…でも」
永瀬『俺、入られへんやろ。寒いから早よして。』
「……。」
このコタツは、
決して大きいものではない。
だから、
永瀬『ふぁ〜、あったけぇーー！！』
「廉、近いよ。」
永瀬『…んふふふ、ちょっと狭いな？』
「……。」
ピッタリと密着する廉の身体。
顔を横に向けると、
すぐ隣にある廉の横顔。
永瀬『てか、こっちの方が温かい。』
「…でも、窮屈だよ。」
永瀬『ええやん。つべこべ言うな。』
「…はい？」
ガバハーー！！
と、大きな口を開けて笑う廉を見ると
不思議と心が穏やかになった。
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＿＿東京どうやった？
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永瀬『…こっち見て。』
「…？」
言われた通り顔を隣に向けると
すでに私を見ていた廉と視線が重なった。
永瀬『…ふふっ』
「…ん？なに？」
永瀬『いや？』
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そう言いながらも
コタツの中にある私の手は、
廉に自然と奪われて、
そしてそのままギュッと握られる。
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永瀬『…んふふふ、やーっと触れた。』
「どさくさに紛れてね。」
永瀬『どさくさ言うな。てか…A手小さない？』
「ふふっ、廉は意外とゴツゴツしてる？」
永瀬『……そぉ？』
内心は、
心臓が飛び出そうなほど
触れられた手に全ての神経を集中させる私。
コタツの中で握られた手は
ゆっくりと外に出されて
永瀬『…ほら、やっぱ小さい。』
「……。」
握られた手を廉にまじまじと見られて
寒いはずなのに、
なんだか手の平が汗で湿ってしまいそうだ。
「…なんか、いやらしい。」
永瀬『ふふっ、なにがぁ。』
「触り方がなんかヤダ。」
永瀬『普通やろ。』
手の甲を廉の親指が撫でたり、
にぎにぎされたり、
いろんな角度から私の手を見てきたり。
そして、その視線は私に向けられて
.
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永瀬『…していい？』
「しません。」
永瀬『…チューやで？』
「手、離して。」
永瀬『……そういう雰囲気やんけぇ。』
少しだけほぐれた心の隙間に
スルリと侵入してきた廉の右手が
少しだけ湿っていた事は
ここだけの秘密。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
