～ネコ日和～【永瀬廉】 (ページ31)

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ー冬ー

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永瀬『まだぁ？』

「まだ。」

永瀬『……』

「……」

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薪ストーブの前で並んで座り

二人黙って待機する。

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永瀬『まだ？』

「ふふっ、もうちょっと待って。」

永瀬『……』

「……」

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米農家の冬の過ごし方は、

特になにも。

春からの栽培計画を考えるくらい。

たまに出荷作業などには行くが

春から秋にかけての作業に比べると

わりとのんびり出来る季節。

特に車もない私は、

ほとんど家の周りをうろうろするだけで

あっという間に時が過ぎ

あっという間に春の作業が迫っている

なんて事が毎年。

永瀬『…もうええやろ。』

「…んー、もう。分かったよ、ちょっと待ってて。」

永瀬『早くー。』

私は軍手をはめて、薪ストーブを開ける。

その中から

アルミホイルに包んだある物を取り出して、

それをストーブの上に乗せた。

「廉も、軍手つけて。」

永瀬『ほい。…めっちゃいい匂いすんねんけど。』

そして、その熱くなったアルミを開けると

「…おぉーー、いい感じ！」

永瀬『…あっつ！！…』

「開けようか？」

永瀬『いや、いける。』

その中からは

秋の終わりに掘り起こした芋だ。

熱々の湯気が立ち

それと共にほのかに甘い香りが鼻をくすぐった。

永瀬『…甘っ！！めっちゃ甘い！！』

「甘いねぇ、ホクホクだぁ～」

永瀬『…え、焼き芋って皮も食えんの？』

「…んーー、それは好みじゃない？私は食べる派。」

あーだこーだ言いながら

二人でモコモコのニットを着て焼き芋を食べる。

永瀬『…ん"』

「あははははっ！無理に皮も食べなくていいのに」

永瀬『んふふふ、…俺は苦手だな皮。…フハハッ』

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ほっこりとした冬が始まった＿＿

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