14 ページ14
.
夏の縁側は、
暑いけど風が入って気持ちが良い。
昨日作ったバケットを焼いて
その上に今作ったジャムを乗せ、
縁側に座って食べる、昼下がりのこと。
永瀬『あんま俺、パン食わんねんけど旨いわ。』
「パン、食べないんだ。」
永瀬『うん、パンより米派。』
「たまにはいいでしょ？」
永瀬『んー、いや、Aと食うから旨いんよ。』
「……。」
そして廉は、
たまに突拍子もない事を言い出す。
永瀬『Aとおったら何食っても旨いもん俺』
「……。」
ほらね。
.
黙ったまま、
廉の言葉を頭の中で繰り返す。
すると廉は、
永瀬『Aは、俺とおらんくてもいい感じ？』
「…へっ？」
私の心の奥を探るように、
じっと見つめて。
でも、それはすぐに、
永瀬『んふふ、なーんもない。』
「……。」
話と共にそらされた視線に、
思わずドキッとした。
永瀬『なんか、ええなぁこういうの。』
「…うん。」
どうせすぐに、飽きちゃうよ。
今は慣れない田舎暮らしが、物珍しいだけ。
.
.
.
永瀬『あっ！！！』
「あっ、…ふふふっ」
.
今日はまた家に、
とある訪問者が現れた。
.
家の周りに植えた夏野菜を収穫したり
鬼の草刈り作業を終えた私達は
今日も縁側に座って一息ついていた。
すると、
「また来たのかぁ〜？」
グレーと茶色が混ざった可愛らしい
野良猫がひょっこり顔を出す。
縁側を降りると、
トコトコと私の方に駆け寄ってきた猫。
顔をワシャワシャしてあげたり
頭を撫でたりすると、
なんとも甘い表情に変わるんだ。
永瀬『Aにめっちゃ懐いてるやん』
「よく、うちに顔を出してくれるの。」
永瀬『ふーん、俺が触ったら嫌がる？』
「この子は人懐っこいから大丈夫だよ。」
動物は好きだけど
触り方がイマイチ分からないらしく
廉はぎこちなく、人差し指で猫の頭を撫でた。
永瀬『フハハハッ、めーっちゃ可愛いなぁ』
「ふふっ、抱っこしてみる？」
永瀬『…いや、ええわ。なんか落としてまいそう。』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
