～ネコ日和～【永瀬廉】 (ページ12)

今日:73 hit、昨日:117 hit、合計:511,380 hit

12 ページ12

.

「アハハハハハッ！！…廉、フハハハッ」

永瀬『いや、笑い過ぎや』

「ハハハハッ、ごめん、…ふふっ」

黒のキャップ

グレーのシャカシャカしたパンツに

深緑のTシャツ、そして長靴を履いた

「ふふっ、似合うじゃん。」

永瀬『いや馬鹿にしてるやろA。』

「ハハハハッ！！してないよ、なんか新鮮で！」

農業スタイルの廉は、

とてもじゃないけど不自然で浮いていた。

廉自身はとても気に入ったようで

何度も、俺どお？と私に聞いてきたけど、

私は廉の被ったキャップを取り、

「ふふっ、この茶色い髪が、そうさせるんだね。」

永瀬『……。』

キョトンとした廉の髪を、

くしゃくしゃっと撫でてあげた。

.

「さっ、行くよ？」

永瀬『…ん。』

若い2人が農業の格好をして

大自然の中を自転車でのんびりと漕いでいく。

.

永瀬『風が気持ちぃーー』

「行きは下りだからね。」

永瀬『…嫌な事言うなよ。帰りたくなくなるやんけ』

「ふふふっ、ごめんごめん」

そして山を下ると

あたり一面に田畑が広がり

その景色はいつ見ても、心が洗われる気がした。

雨が多いこの村は特に湿気が凄い。

永瀬『あっつー…』

「勝手に汗が出るよね。」

永瀬『もうTシャツ濡れてんもん俺。見て？』

白い霧たちが私達を包み込み、

拭いても拭いても止まらない汗は

もう、気にしたら負けなのだ。

廉は、私の畑作業の手伝いをすると聞かなかった。

.

永瀬『これ、引っこ抜いたらええの？』

「そっ、雑草は抜いても抜いてもキリがないけど
これを放置すると来年大変な事になるからね。」

永瀬『ほぉえ～、大変やなぁ。』

腰を曲げて雑草を抜いている廉の姿は

やっぱり、様にならないけど。

永瀬『あ"ぁーー、腰しんどっ』

「廉、休憩しなよ。」

永瀬『いやや。』

仕事の邪魔になるかと思いきや、

案外、廉は良い仕事をする。

.

作業を一旦中止して、

田んぼの傍に2人並んで座り

朝作ったお弁当を廉に渡した。

永瀬『…めっちゃ腹減った。』

「働いた後のお弁当はいいよね。」

永瀬『ぅわ…しかもめっちゃ旨そうやん。』

「んふふ、それは良かった。」

美味しい？と聞くと、

瞼をギュッと瞑り、天を仰ぐ廉の嬉しそうな顔。

廉は人懐っこくて、働き者だ。

.