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私は、
手ぶらで永瀬の家に帰った。
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なるべく永瀬に合わないよう、
足早に部屋へと入る。
「……」
無心で、
自分の荷物をまとめていく。
なるべく、何も考えずに。
制服、パジャマ、メガネ、歯ブラシと
必要最低限の物だけを持ってきたはずなのに
それの倍以上に荷物が増えてて
鞄に収まらない。
「…あれ、…入んない。」
ギュッギュッと鞄に押し込む。
力強くで、何度も何度も
「…っ、………っ、……」
こぼれないように
私は袖で目を擦りながら
荷物を鞄に詰めていく。
それでも視界は
どんどん霞んで鬱陶しい
「……もぉ、……っ、…入ってよ…」
乱暴に服を押し込んで、
瞬きをした途端、
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一粒の涙がこぼれ落ちた。
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＿＿廉の将来を、貴方に奪う権利はない
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「…ぅっ、………っ、……」
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＿＿廉と君では、生きてる世界が違い過ぎる
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「……っ、………」
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＿＿廉だけじゃない。
＿＿何人もの人達を我々は背負っている。
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＿＿君は、その人達を皆殺しにするのか
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ぱんぱんに詰まった鞄を背負い
私は部屋を出た。
廊下をなるべく早く歩いて、
永瀬の部屋も足音立てずに通り過ぎ
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永瀬『A？』
「っ！……」
やめて
お願い
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永瀬『帰って来てたなら声かけてや。笑』
「……」
こっちに来ないで
永瀬。
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それでも永瀬が近づいてくる。
その間、私は下唇を噛んで下を向く。
荷物の取っ手を、ギュッと強く握る。
永瀬『…んふふ、どうしたん』
下を向く私の頬を持ち上げて
永瀬『……』
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永瀬は、
私の泣き顔に目が大きく瞬いた。
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永瀬『…なんで泣い』
「離して…」
永瀬『え？……』
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私は永瀬の手を取り、
そのまま下におろして突き放す。
永瀬『……』
「……」
言葉にすると、溢れてきちゃいそうだから
私は逃げるように
永瀬の横を通り過ぎる。
永瀬『は、ちょ待てって』
「…永瀬」
永瀬『…お前、どこ行く』
「永瀬、」
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「…永瀬、……イギリス行って。」
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作者名：ayu
| 作成日時：2021年2月22日 9時
