～恋するオタク～【永瀬廉】２ (ページ30)

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kaito side…

『れーん。さっきから何作ってんの』

永瀬『紐。』

『…ふっ、…紐？マフラー？』

永瀬『……むっず。え、なんこれ…どーなってんの』

自分の為に作っているのなら

色がメルヘン過ぎるし

もしも、Aに作っているのなら

ちょっと重…や、うん。いいと思う。

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2本のかぎ針で苦戦する廉を横目に

俺は漫画を読みながら

何気なく聞いてみた。

『Aが好きなの？』

永瀬『……』

『ふふ、……分かりやす笑』

永瀬『まだなんも言うてへんやろ』

顔が言ってるよ。

好きなんでしょ？

もう、それも相当。

『好きって、言わないの？』

永瀬『…もぉ俺の知らん所でフラれてる』

『え？』

廉はそう言って肩を落とした。

あ、なるほどね。

あの年越しの話ね。

A、あの時フったんだ。知らなかった。

『そか。でもマフラーは作るんだ』

永瀬『これはー、あれよ。ただの…俺の趣味』

『ふっ、…急に目覚めたんだ笑。手編み』

永瀬『そぉ。…急に。俺もびっくりしてる。』

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廉はまだ未完成なマフラーを膝元に置き

ふっと息を吐く。

そのまま大きな窓ガラスを眺めて

物想いに語り始めた

永瀬『好き、ってことなんかな。これは。』

『ん？』

永瀬『いや…初めてやからよく分からんのよ。笑』

頬をぽりぽりっと掻いて照れ隠し。

ここまではいつもの廉だ。

だけどこの後の表情は、

いつになく逞しい横顔で

永瀬『まぁ、…でも好きなんやろな…』

『……？』

永瀬『んふふ…』

.

永瀬『マジで不本意やけど、

毎日考えちゃうもんなぁー俺、あいつの事。…』

嗚呼、…ファンタスティック……。

.

.

3月下旬になると

気温は一気に穏やかだ。

ブレザーを着なくても平気だし、

セーターも最悪いらない。

…くらいなんだけど、

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永瀬『～♫…』

「…海人。…ねぇ、海人ってば…」

髙橋『Aが言いなよ。』

「…やだよ。……でも、やっぱ言わなきゃだよね…」

髙橋『廉の為に、言ってあげて…そこは。』

.

“もう、マフラーは付けなくていいよって”

チェック柄のマフラーを

大事そうに毎日つけて歩く廉。

それを見て怯えるA。

逆に4月でも付けて歩くのか

試してみたいけどね、俺。ふふ

.

高校2年

俺たちにはまた、春がやってきた＿＿

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