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3学期が始まった
永瀬『おはよ』
「……はよ」
永瀬『…まだ怒ってんのお前。長い長い』
「怒ってない。」
教室に入ると
すかさず私の元へやってきた永瀬とは
相変わらずこんな感じ。
あれから、
あ、あれからというのは、そのぉーー
あの夜の事件からという意味なんですが、
どうも永瀬と目を合わせられない。
永瀬『連絡もお前、全然返さんしなぁ？』
「…返そうとおもってたの」
永瀬『思うんじゃなくて返せや』
だって、
目の前で見つめられて、
手を握られて、
好きと言われて、
危うくキスまでされそうになって、
で、当の本人は記憶に無いだなんて
「先生来てる。…早く座りなよ」
永瀬『……』
そりゃー、こうなります。
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どこにもぶつけようの無い気持ち。
モヤモヤしててずっと心地悪い。
別にいいけど、いいんだけど、
私が忘れたらいい話なんだけど、
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「……」
永瀬『……？』
授業中、不意に永瀬と目が合った。
すぐに目をそらした。
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明らかに意識してしまう自分。
あれからずっと、私だけが気まずいんだ。
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学校の廊下を歩く。
永瀬『…なぁって』
私の後ろをついて歩く永瀬。
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永瀬『待ってって…』
「っ、…離して」
永瀬『マジで分からん。なんでキレてんのお前』
手首を掴まれる。
何故か怒られて、睨まれる。
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「…年越し」
永瀬『……ぉん。年越し？…それがなによ』
だから私も睨み返す。
あれを真実にしたいのか
思い出してほしいのか
自分も分からないまま、
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「永瀬が…私にキス、…しようとした。」
永瀬『……』
言ってしまった。
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どうせ信じない。
だから言った。
私なんかに、ブスなんかにって
笑われる覚悟で言ったんだ。
なのに、
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永瀬『……』
明らかに動揺する永瀬。
私を疑う素振りなんて1ミリも無く
まるで思う節があるみたいに
瞳をキョロキョロさせて
しまいには、
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永瀬『…ごめん』
なんて言うんだもん。
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永瀬『…覚えてないけど、…したん、かもな俺』
「……」
永瀬『ほんまごめん』
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作者名：ayu
| 作成日時：2021年2月10日 0時
