～恋するオタク～【永瀬廉】２ (ページ18)

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私と少し距離を置いて

ようやくソファに腰を下ろした永瀬

永瀬『……たまたまよ？』

「…？」

隣に顔を向けると、

気まずそうな表情で永瀬は続ける。

永瀬『たまたま海人と、…そのぉー、カラオケ

おっただけやから。入る部屋を、…間違えただけ。』

いつになく歯切れの悪い口調。

だけど次は、ちょっとだけ角を出す。

永瀬『ギリ未遂、って事であってるやんな？それ』

「……？」

永瀬の視線は私の顔から足先へ。

その後はすぐに目を伏せて

呆れたようなため息をこぼす。

永瀬『…知識も無い癖にホイホイついて行くなや。

ボケーッとしてるからこんな事なんねん。』

肩からずり落ちた海人のダウンコートを

私は自分でかけ直しながら

ソファの上で、子供みたいに三角座りをして

身体を小さく丸めた。

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「……そうだね」

永瀬『……』

ごもっともだから、

何も言い返せない。

友達から、なんて誘惑に惑わされ

毎日好意的なメールに浮かれ

相手の素性も知りもしないのに

勝手に気持ちは膨らんで

完全に舞い上がっていた。

今思えば、

私は彼のどこに惹かれていたのか。

もう、考えたくもない。

恋愛

私にはずっと縁が無かったそれ。

経験が出来ている自分に、酔いしれた。

幼くて、お子ちゃまで、馬鹿で

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永瀬『……おぉお前…もさ、』

「……」

永瀬『…大事にせぇよ…』

あやふやな口調。

私はまた永瀬の横顔を見つめながら

次の言葉を待っていると

ようやく視線が重なった。

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永瀬『自分大事にせぇって言うたん、…お前やろ』

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「……ぅん」

永瀬『お前が見失ってどーすんねん』

「…ぅん……っ」

永瀬『……』

「…ごめ、…ん」

自分の膝に顔を沈めて

止まらない涙を流し続けた。

しばらくして

私の背中に、温かい手の平の感触。

その手は私の背中を撫でる事も、さする事もしない。

ただ乗せるだけ、触れるだけ

永瀬の不器用過ぎる優しさが、胸一杯に沁みた。

「……っ、…ぅ、っ………」

永瀬『………』

実はこの時

永瀬がもう片方の手を

私の肩の周りで行ったり来たりさせていた、

だなんて知らない。

実はこの時すでに

新しい感情が芽生えていた事にも

私達はまだ、全然＿＿

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