～恋するオタク～【永瀬廉】 (ページ45)

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45 kaito side ページ45

kaito side…

「廉くーん。今日カラオケ行かなぁい？」

永瀬『……』

「ねぇ、廉くーん！」

永瀬『……』

「……」

5時間目の授業が終わると

すかさず廉の机の前へ群がる女子生徒。

いつもは、軽く受け流したり愛想笑いの廉が

今日はなんだか上の空。

「…もぉ、なによ。……」

永瀬『……』

つまんないの…っと女子生徒は

不貞腐れながら去って行く。

廉は、恐らく彼女が声をかけてきた事にも

気付いていない様子だった。

頬杖をつき、窓の外を眺めている廉。

『廉、どうした？』

永瀬『…べつに』

『元気ないじゃん』

永瀬『…普通』

究極のかまってちゃん男。

俺よりも多分酷いよ、この人。

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ふと目線を変えると、

イヤフォンで音楽を聴きながら

一人で口ずさむAの姿。

『ふふ、…Aって面白いよね』

永瀬『え？』

『…え？笑』

なになに、急に反応するから驚くじゃん。

『いや、ほら。1人なのに楽しそうじゃない？笑』

永瀬『…あーー笑。…んふふ、…あいつアホやろ』

『……？』

頬杖をついたまま廉は、視線をAに向ける。

じっと見つめて、時々フッと鼻で笑うし

時々、とてつもなく優しい表情をする。

永瀬『あいつさぁー』

『うん。』

永瀬『俺が嫌いらしいわ』

『うん。だろーね。』

廉はそのままのトーンで言葉を続ける。

永瀬『でも俺が1人になったら』

『……』

永瀬『そん時は一緒におってくれるらしい』

.

.

それだけ言うと、

俺に向かって廉は無邪気に笑う。

永瀬『んふふ、こっちが願い下げじゃってな。笑』

とても嬉しそうだった。

耳元を赤くして、頬に猫ひげなんか作って笑う。

なんか俺までときめいた。

Aは、廉に一体どんな魔法をかけたのかな。

でも、きっとそれは素敵な魔法だね。

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