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後日判明したのだが
山田、と言う人物は居ないという事。
あの悪質なイタズラは恐らく
毎日嫌味を言い続けてきた女の仕業だろう。
体育倉庫事件の帰り
私は再びリムジンに乗っていた。
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永瀬『お前のせいで散々な目に遭ったわ』
「…はい？貴方にも原因はあるでしょうよ」
永瀬『どこにあんのよ』
勝手に部活に押しかけてきたのも
勝手に告白現場を覗きに来たのも全部貴方でしょ。
…むしろ原因しかないわ。
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永瀬『その女、名前なんていうん』
「ん？あー、いや。聞いてないけど…」
永瀬『まぁ、なんとかしとくわ俺が』
「えっ！！ほんと！？」
永瀬『おん』
永瀬くんは携帯片手に、
軽いテンションで助けてくれると言う。
「ど、どうやって？」
永瀬『その女は俺が好きでお前を妬んでんねやろ？
じゃあー、簡単よ。』
「…？」
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永瀬『１回抱けば大人しなるわ。笑』
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私は、膝元に置いていたスクールバックを
強めに抱き締める。
腑に落ちない何かを必死で考える為に。
そんな事とはつゆ知らず永瀬くんは、
鼻歌混じりに携帯ゲームへ視線を集中させていた。
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「…それは、…良くないんじゃない？」
永瀬『ん？』
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何が？とでも言わんばかりのお惚け顔。
間違っているのは永瀬くんなのに、
まるで私がおかしいみたいに。
「あの子の肩を持つ気はないけど…でも
永瀬くんに対しての気持ちは本物だと思う。
それなのに、そんな簡単に弄ぶような事して…」
あの子、きっと深く傷つく。
好きな人に遊ばれたと分かった瞬間
どんな気持ちになるのか。
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永瀬『気持ちは本物ってなに？笑』
「え？」
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すると、
永瀬くんは瞳の色を消しこちらを捉える。
あの不気味な笑みを見せて、彼はこう言った。
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永瀬『そいつが好きなんは
金持ちの家で育った俺が好きなだけ。
もし永瀬グループが倒産したら、
逃げて行くのは多分向こうの方やろ。笑』
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まただ。可哀想な顔。
言葉は乱暴で、雑に見えるのに
とても脆くて弱々しい。
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永瀬『金さえありゃええねん。
一発抱いて、札束チラつかせたら一瞬で黙るわ。
お前もこれで嫌がらせされんで済むし俺も……』
永瀬『…て、っえ？』
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作者名：ayu
| 作成日時：2021年1月31日 1時
