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「じゃあ、私も聞いていい？」
永瀬『内容による』
自分勝手だなぁ、この人は。
私の告白現場を覗きに来る奴が言えた言葉か。
「……なんで隠すの？」
永瀬『なにが』
「優太様のファンだって事。別に言っても」
永瀬『言ったら殺す』
不気味な事言わないでよ。
密室なんだから、背筋が凍るじゃない。
永瀬『お前とは違うって言うてるやろ』
「……？」
永瀬『……』
永瀬くんは未だマットの糸を指で触り
そして下を向く。
伏せたまつ毛が、彼の顔に寂しい影を作った。
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永瀬『永瀬の名を汚すな』
「え？」
永瀬『親から唯一教わったんがこれ。』
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永瀬『一緒におる友達も、持つ物も、
身に付ける物も、勉強も運動も全部完璧に。
小さい頃から俺はそう教わった。凄いやろ？笑』
彼は笑っているけれど、私は笑えなかった。
永瀬『まぁ幸運な事に俺は何でも出来ちゃうのよ。
あとぉー、イケメンやし？笑 …んふふ……』
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永瀬『まぁでも、それが無かったら』
「……」
永瀬『俺なんておらんのと一緒よ。』
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チラッと永瀬くんは私に目を向ける。
恐らくジッと黙って聞いて居たからだろう。
永瀬『笑えよ』
「…笑わない」
永瀬『なんで』
「…面白くないから」
永瀬『…んふふ、…真似すんなアホ』
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＿＿あー見えて廉は繊細なんだよ。
＿＿心はちゃんと温かい人
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不思議だった。
私よりも孤独に見えた。
一人で居た私よりもずっと。
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「あと1週間、貸してあげようか？」
永瀬『ん？』
「DVD…」
永瀬『なんで？急に。』
「珍しく可哀想に見えたから」
永瀬『…は？…お前に言われたないわ笑』
今は確実に、私より可哀想だよ。永瀬くん。
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9月後半に差し掛かる
夕方になると明らかに冷え込み
体育館の倉庫なんて場所は、もっと最悪で…
「…っクシュ…！！…」
永瀬『撒き散らさんといて菌』
「……ックシュ！！…あぁーー、寒い」
永瀬『ほんま寒い、てか海人なにしてんのマジで』
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一方その頃＿＿
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彼は電車に乗って居た。
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作者名：ayu
| 作成日時：2021年1月31日 1時
