3 ページ3
.
「よし、そろそろ終わろっか」
2時間はあっという間に終わる。
部活と受験勉強の両立が難しいからと
家庭教師を頼むことになって
だから自ずと苦手な科目を教えてもらうから
この時間が苦痛なはずやねんけど。
教科書をまとめて鞄に入れる所
立ち上がって伸びをする所
グレーのロングコートを羽織る所と
帰る準備を進めていくAの些細な行動を
未だ机に肘をつきながら俺は目で追った。
「あ、廉くんさ」
『ん?』
Aはコートの襟を整えながら
こんな事を聞いてくる。
「ケーキ、好き?」
『ケーキ?』
帰り際にする話ちゃうやろ
俺はそう思いながらも
適当に好きやけど、と答える。
「チョコ?それともぉ、ホワイトケーキがいい?」
『んふ、なんでなん』
ちょっと楽しそうに話すAに
自然と笑みが溢れる。
「来週、一緒に食べようよ。」
『……』
「クリスマスケーキ。」
Aの彼氏がどんな奴か知らんけど
お宅の彼女さんは馬鹿なのかな。
こんな事言うてますけど。
「あれ、微妙だった?」
多分、微妙な顔をしてしまってたんやろな俺。
.
来週の授業は皮肉にもクリスマス。
嫌でも意識してしまうそんな日に
Aは俺の家に来る。
家庭教師やからしゃーないねんけど。
俺が受験生やからね。
勉強して、世間話して
楽しく2人でケーキを食べた後Aは
彼氏の元へ行く。
微妙やろ?
そら、こんな顔なるよ。
『チョコ。』
「え?」
.
.
『チョコレートがいい。』
騒がしい感情を
この馬鹿な女にちょっとだけ知らせてみる。
『そのかわりホールで買ってきて。』
「ホール?…ふふふ、食べきれないよ」
『ホールじゃないと俺食わんで』
「はい?」
何言ってんの?みたいな顔をして笑うA。
何言ってんの、じゃないのよ。
それはこっちの台詞。
.
『絶対ホールな。』
「ふふふ、廉くんってもしや大食いなの?」
『…っさい…早よ帰れ。』
全部食い切るまで
その日は帰さんから。
こんな小っさい攻防をしたところで
鈍感なコイツには1ミリも伝わらんのやろうけど。
.
1461人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aimi(プロフ) - ギャーーーーーーーーーーーわーーーーー‼️今回もすごかったです‼️廉くん目線難しかったですよね?私達のためにありがとうございます✨これからも応援してます✨ (2021年11月2日 19時) (レス) @page42 id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 長文すみません、、、 (2021年11月1日 20時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - すごく面白かったです‼️まとめみたいなのが大好きです❗️廉くんも可愛かった❤️すごく良かったです‼️これからも頑張ってください!応援してます✨ (2021年11月1日 19時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 初めまして?小さな世界の感想書くところがなかったのでこちらでいいですか❗️書かせていただきます✨ (2021年11月1日 19時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - かなさん» かなさん★おーーーまたせ致しましたすいません…( ;∀;)ようやく新作公開しております!是非お暇な時に読んでいただけると幸いです★ (2021年1月31日 2時) (レス) id: 72acefca01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayu | 作成日時:2020年11月27日 19時