〜難しい恋〜【永瀬廉】

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ショートカットのその人は

赤いボールペンを、

白くて細い指でくるくると無意識に回す。






「…ん、ここ違うよ」






すぐ側で、耳に届く甘い声も






『どこ？』


「ほら、ここ。さっき教えた所」






距離を縮めると

ほのかに香る柔らかい香水の香りも

さりげなく揺れるピアスも






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『…あ、ほんまや』


「ふふふ、分かった？」


『おん…』






笑うと、

大きな目がクシャッてなる所も

ちょっと濃い化粧も





全部＿＿






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『これ終わったら休憩な。』


「いーよ。」


『………』






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『しゃ、終わった。』


「ふふ、じゃあ休憩する？」


『する。…』






柔らかそうな素材のブラウスに

タイトスカート






そこからはみ出た太ももや

白くて綺麗なうなじ

俺は何度見て見ぬフリをした事か。






「来週、クリスマスだねぇ」


『……』






いくら家庭教師と生徒の関係だからといって

男の部屋で2人きりになると分かっていながら

そんな格好で毎度現れるその人に






警戒心も全くない

恐らく、ろくでもない女に






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『…なぁA』


「ふふふ、なーに？」






俺は恋をしていた＿＿






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