〜難しい恋〜【永瀬廉】

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あーあ






また濡れた






びっしょびしょのまま俺は電車乗んのか

しかもこれ、アイツの彼氏の服やし






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傘もささず

しわくちゃになった制服と鞄を持って

俺はまたザーザー煩い雨の中をトボトボ歩く。






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Aの家から

逃げるように飛び出して今に至る。






あ、もしかして察してくれた？

そうなんよ。

そうなんですよ。






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『…別れて、…俺と付き合おや』


「……」


『……』


「ごめん」






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「私、今の彼氏が好きなんだ。」






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フラれました、僕。

しかも、わりと残酷なフラれ方で。






ごめん、

だけでええやん。






彼氏が好き、

俺この情報は要らんかったなぁ〜






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告白をする予定なんか無かったし

キスをする予定も、手出す予定も

全然、全く、マジで無かったのに






全部スベった。






『んふふ…だっさ、俺』






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でも、なんやろな。






俺、ちょっとホッとしてんのよね。






あのまま受け入れられてたら

本格的にまずい気がした。

一生抜け出せない所に

引きずり落とされそうで怖かった。






もう、やめた。

あんな奴のために

いろいろ考えんのが面倒くさい。






3日後に、アイツは家に来る。

その日までにはなんとか、

俺も立ち直れそうよ。






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『…雨〜、止めよぉ〜』






多分ね。





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3日後に、

Aは予想通りケロッとした顔で現れた。






「宿題、見せて」


『…ん』






前髪が少し伸びてきたのか

指でそれを耳にかけながら

俺の宿題を大きな目で追うA。






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「うん、出来てる！」


『……』


「ふふ、偉いじゃん廉くん。」






あの時みたいに

Aは俺の頭をクシャクシャっと撫でてきたから

俺は無愛想にその手を振り払う。






『やめろ。…で、今日は何処すんの。』


「ふふ。今日はね、これを覚えてもらおうと思って」


『………。』






これは、立ち直ってるんやろか。






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「…早く、書いて。」


『………。』






むしろ

また振り出しに戻ってる気が






せんでもない。






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