～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ8)

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永瀬『アハハハハハッ！ほんまっすか？』

永瀬『いやいや、それが違うんすよ。見て下さい。』

永瀬『かしこまりました。ありがとうございます。

いやいやぁ、何をおっしゃいますやら！』

アハハハハハ…？

何をおっしゃいますやら…？

え、なにその見た事ない飛びっきりの笑顔…

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訪問先の人と話す先輩は、

まるで別人だった。

頬に可愛いシワなんて作って

無邪気に笑う先輩は、

訪問先の人に壁一つ作らず

どちらかというとフランクに距離を詰めていく。

見た目良し、

話も上手い、

そして丁度良い距離感。

相手側も、

そんな先輩に対して嫌な印象を抱くはずも無く

次々と上手い具合に話が進んでいた。

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永瀬『今後とも宜しくお願いします。』

「…お、お願い致します。」

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訪問先を出て、車に戻れば

先輩はいつもの無表情に変わる。

「…先輩、凄いですね。」

永瀬『なにが』

「だって、あの人達完全に先輩の空気に
持ってかれてましたよ。さすがです。…凄いです。」

永瀬『……。』

ちょっとびっくりした。

あんな表情出来るんだって事と、

ちゃんと人と会話出来るんだって事。

まぁでも、指導係にもなるくらいだもん。

実力が無い訳ないか。

参りました。

ちょっとは、尊敬出来るかもしんないなぁ。

冷たいけど、見習いたい所はあるかも。

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永瀬『お前も凄いやん』

「……。」

すると突然、

思いもよらぬ言葉が耳に届く。

隣に顔を向けると

フッと笑った後、永瀬先輩は、

私を真っ直ぐに見つめてきた。

私は、驚きのあまり声を失った。

だって、急に褒められた挙句、

初めて笑いかけてくれて、

そしてそんな綺麗な顔で見つめられたら

思わずドキッと…

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永瀬『お前、昨日俺が渡した資料見てもないやろ』

「……え？」

ドキッと…

永瀬『朝来たら、

お前のデスクに資料置いたままやったから。』

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でもそれは…

永瀬『お前この後行く会社も、

なんの知識も無しで訪問するんやろ？

凄いやんお前。俺はそんな事出来ひんから。』

そう言った後、

一気に冷淡な顔つきへと変わり、

また先輩はハンドルを握り、

車を動かし始めた。

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