～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ7)

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永瀬『行くで。』

「はい！」

私の事など見向きもせずに

自分のペースでオフィス内を歩く永瀬先輩。

必死で先輩の歩くスピードに合わせる私は、

この後の状況なんて思い浮かべる暇も無く

無言のままついて行く。

そして、

「あ…」

永瀬『なに？早よ乗って。』

「あ、…はい。」

ようやく気付く。

訪問先に向かうまでの道のりは、

先輩と車の中で2人きりだという事を。

うわー…

気まずー…

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先輩はスムーズに車のエンジンをかけ

シートベルトを装着する。

私も慌ててシートベルトをつけている間に

先輩は何も言わずにハンドルを回しだした。

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「……」

永瀬『……』

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窓に映る東京の街並みをひたすら目で追う。

というなんとも苦痛な時間。

きっついぜ…この空間。

普通さぁ、

何か話しかけてくれんじゃないの先輩って。

後輩が、怯えて縮こまってますよ助手席で。

まぁ、どうせこんな事言ったら、

お前から話しかけて来いよ。

とか、言われんだろうな。

よし。

ここはいっちょ、かましてやるか。

「あ、あのぉ、…先輩。」

永瀬『ん？』

一応、無視はされないと言う事は分かった。

次は、少しモヤモヤしていた事を聞いてみる。

「…新人教育の方法って、人によって違います？」

永瀬『なんで？』

「…いや、」

関西弁のなんで？が、ちょっと怖いな。

そんな事聞いてどうすんねん、このボケ！

と、そう言われているような気分だ。

やめよ。この質問。

なんか怒られそう。

「…なんとなく…です。」

永瀬『まぁ違うんちゃう。』

「え？」

あ、ちゃんと答えてくれた。

なんだ、会話出来んじゃん。この鬼。

「そ、そうですよね！！なんか昨日海人がぁ」

永瀬『出来る奴と出来ひん奴とでは、
同じ教え方しても意味無いから。』

「……え？」

永瀬『なに』

「…いや。…何もないです。」

やっぱり、永瀬先輩の言葉には

どこかトゲがある。

私は、

出来る奴と出来ひん奴

どちらの方法で今、教えられてます？

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