～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ6)

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永瀬『明日からは外出るで。』

は！！そと？お外に？

外って事は、訪問に行くって事か！！？

なんの資料かも分からない紙を

ひたすらホッチキスする一日から

やっと解放されると思った私は、

瞬時に頬が緩む。

永瀬『はい、これ。』

「え？」

先輩は、4つの薄く束に分けた資料を

私の机の上に置いた。

永瀬『明日行く会社の資料。目だけ通しといて。』

「あ、はい！分かりました！！」

永瀬『ん。』

やっと外に私を出してくれるのね。

はぁーーー、窮屈だったよぉ。

って言ってもまだ今日で2日目だけど。

永瀬『お疲れ』

「お疲れ様でしたぁ」

そう言って先輩は、

鞄を持って颯爽とオフィスから出て行った。

よーし。

明日は先輩の実力を目に焼き付けてやる。

てか、あんな冷たい人が

本当に営業とか出来んの？

むしろ、苛立たせる気がするんだけど。

ふっ

口だけは大きい人って居るからね。

ま、見てやるよ。

この、鬼ぃぃいい！！

海人『すんごいブスだよ、その顔。』

「ゥワッ！！…びっ…くりした」

いつの間にか隣に居た海人は、

顔を引きつらせて私を見ていた。

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「海人も明日から訪問？」

海人『ん？俺？俺はねぇ、もう行った。』

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…ん？

「行ったって、何処に？」

海人『え？だから訪問先でしょ？先輩と行ったよ？』

「……。」

ん？

ん？…え、なんで。

「いつ」

海人『なに！怖いよ。』

「いーから、いつ行った？」

海人『…き、今日だよ。』

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私、今日ずっと

ホッチキスとコピー機の行き来のみだよ？

え、なんで早くも育成スピードの差が出てんのよ？

海人『でも俺さぁ

全然、知識が無いまま行ったから正直凹んだ。

ある程度の事は頭に入れて行ったつもりだったけど

先輩が何言ってんのか、さっぱりだったもん。』

帰り道。

海人は夕暮れ時の空を眺めながら

昨日よりも少し成長しました！

みたいな顔をして話をする。

なんか、キラキラしてんじゃん。

海人『ん？なに？』

「いや、なにも。」

海人は私よりも先に

いろんな事を経験させてもらっていると知り、

無駄に高いプライドを傷つけた。

海人『え、なんか拗ねてる？』

「別に拗ねてないよ。」

私って、とことん面倒くさいな。

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