～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ34)

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永瀬『俺も見せてや、それ』

「それ？」

永瀬『背中に隠しとるやつ。』

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バレましたか…

私は、ゆっくりと背中に隠した

観光用パンフレットを先輩に差し出す。

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永瀬『んふふ、普通に観光しようとしてるやん』

「ち、違います！…そのなにがあるのかなぁ？って」

馬鹿にしたように笑ってはいるが、

先輩もなんだかんだでパンフレットに

目を奪われている様子だった。

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永瀬『どれが食いたいん。』

「私はですねぇ～」

一つのパンフレットを2人で見ていると

いつの間にか

頭と頭がくっ付きそうな程の距離になっていて

「これです！！…っ！！」

永瀬『…っ！！』

勢いよく顔を上げると、

すぐ目の前にある先輩の顔。

「……」

永瀬『……』

少しの間、重なる視線を

私は慌ててそらして、距離を作った。

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び…っくりした。

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「…あの、…それです。…味噌カツ。」

先輩は、

またパンフレットに目線を変えて

ふーん。と何もなかったように振る舞う。

すると、

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永瀬『食いに行こうや。』

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「……」

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先輩はそう言って

私にパンフレットを返してきた。

固まったまま、

何も言わない私を見て、また笑う。

永瀬『ふふっ…どんな顔してんの。』

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私は、嬉しさのあまり勝手に頬が緩み、

そして満面の笑みで、

「は、はい！！行きます！！」

と言うと、

先輩も少しだけ照れ臭そうに笑っていた。

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永瀬『マジで寝るから起こさんといてな。』

「…あ、はい。今度こそ黙ります。」

永瀬『頼むわ。』

そして、

もう一度寝る姿勢に切り替える先輩。

私も同じように瞼を瞑り、

頭の中で、喜びの舞が繰り広げられる。

味噌カツが食べれる事の喜びなのか、

それとも、先輩と一緒に過ごせる事の喜びか。

そんなの

考えなくてももう、

答えは分かっているんだけど。

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