～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ25)

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今日も何件か

先輩の商談に同行して、

終業前にお礼のメールを作成していた時、

遠くから何やら視線を感じたので

ふと顔を上げて見てみると、

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“今日、飲・み・に・行・く？”

と、海人が私に向かって

大きな口パクをしてきた。

私はクスッと笑った後、

海人と同じように口パクで

“行・く・行・く”

と、伝えた。

お互い口パクだから全力で表情を作り、

伝え合う。

なんだかこの光景が面白くてつい

私は、満面の笑みが溢れて

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永瀬『なんしてんの。』

「…ッ！！」

そして

…満面の笑みは、一瞬で消えました。

隣で先輩は肘を突きながら

私達のやりとりを薄い目で見ていたのだ。

「…ご、ごめんなさい。」

永瀬『まだ仕事終わってへんけど。』

「はい、…そうですよね。」

前を見ると海人は

しらを切るように、

私から視線をそらしていた。

あいつ…

知らん顔しやがって…

私はまた、

作りかけのメールをキーボードで叩き始める。

すると、

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永瀬『お前、酒飲まれへんやろ。』

「…え？」

先輩は、

何故かまだ私の方に身体を向けていて、

「…あ、…私は、…いつもお茶を飲みます。」

永瀬『…ふふっ、そうなんや。』

「……はい。」

ふーん。

と、先輩は何に引っかかったのか

そのまま何も言わずに前を向く。

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「……。」

変なの。

先輩が仕事以外の話をするなんて。

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