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「Aちゃん、ほら飲んで飲んで。」
「…あ、…はい。」
なんか、
マナーって、アホらし。
興味ない話を無理に笑って聞かされて、
セクハラのような事を言われても
それも、笑って過ごさないといけない。
飲みたくないお酒も、
どんどん注がれたら飲まなきゃいけないし
何にも楽しくない。
目の前のテーブルにある乱雑に置かれた食べ物。
それに手を付ける事なく、
空きっ腹でお酒を飲んだ私は、
わりと、もう限界だった。
「永瀬とも、仲良くやってるか？」
「…え、あ、はい。」
「あいつ、厳しいからなぁ〜」
厳しいけど、優しいです。
「永瀬はなぁ、後輩いじめて楽しんでるから。
嫌になったら、すぐ俺のところおいでよ。」
私、別に虐められてないです。
「永瀬って奴は、」
「それ以上先輩の事、悪く言うのはやめて下さい」
「…はっ？」
.
あちゃーー…
やってしまった。
「なに？今、俺になんて言った？」
「……」
「口答えしたよね？」
さっきのヘラヘラした顔付きから一変して、
とても怖い顔をして私を睨み付ける先輩。
やばい、謝らないと。
謝らないと…
「…申し訳ございま」
永瀬『A。』
.
.
.
さっきまで見ていた気持ち悪いおっさん。
ではなく、
私の腕を掴み名前を呼ぶ、
永瀬先輩と視線が重なった。
「…先輩」
永瀬『外行くで。』
「…え？」
永瀬『いいから。』
で、でも、このおっさんに私、
謝らないと…
永瀬『あと先輩も、水飲んだ方がいっすよ』
すると永瀬先輩は、私の隣に座っている
気持ち悪いおっさんの先輩を冷たく見下げて、
永瀬『こいつ、なんか失礼な事言いました？
それなら、俺の指導不足なんで俺が謝ります。』
謝ります。
という態度には到底見えない。
むしろ、永瀬先輩の威圧感が…
「…いや俺は、別に…そのぉ謝らなくても」
永瀬『なら、良かったっす。』
「……。」
シュンとした、おっさんを1人残し
私は、先輩に腕を掴まれたまま、
お店の外に出た。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月7日 12時
