眠らぬ街の誘惑【2】

意地悪 ページ38

「もちろんだよ。なんか、今日の信五すごい優しくてなんか、変な感じ」


ふふっと笑うA。


村上にじっと見つめられ、ゆっくりと目を閉じる。


しかし、思っていた感触を唇に感じることはない。


目を開けて村上を見ると、静かに海を見ていた。


「信五…？」


「俺、意地悪やねん。Aが何して欲しいんかわからん」


物欲しそうなAにそう言って意地悪な笑顔を向ける。


「わかってるくせに！意地悪！」


バカバカと言いながら村上の肩を叩くAの腕を掴むと、


「どうしてほしいん？はよ言わなせぇへんよ？」


と唇が触れるか触れないかのところで見つめる。


「…っキ…キス…して。」


「どんな？どんなんしてほしいん？」


と畳み掛けるように村上が質問する。


「愛されてるなって感じるや…っ。」


とAが言い終わらないうちにAの唇を塞ぐ村上。


村上は苦しいくらい激しく、Aの唇を奪った。


Aの気持ちがちょうど乗ってきたときに唇を離す村上。


「え…」


と物足りなさそうな顔をするAに村上は


「どうしたん？もうおしまいやで」


と冷たい。

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