LOVE 風に乗って。〜天使に捧ぐストーリー〜 3rd

STORY 107 〜風磨〜 ページ7

オレの心は揺れていた。






本当にこのまま中島に隠していていいのだろうか…







「中島…お前、結局離婚届はどした？」







白々しく確認する。









「それな…俺が持ってると一生出せそうにねぇからAに渡した。
きっと、もうとっくに出してるよ…
だから、俺らはもう赤の他人。」








中島の目が赤くなっていた。








中島は決してAと別れようと決断した訳じゃなかったんだ…







オレは中島の言葉に胸があつくなった。








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「中島…あのさ…」








「なんだよ？」









「Aさ…」









「だから何？風磨早く言ってくれ！」









オレは喉まで来た台詞をのみこんだ。









「Aのことだから、ほら、失くしちゃったーとか言って、まだ届けてなかったりするんじゃね？ハハッ…」









オレは、赤ちゃんの事をどうしても伝えることが出来なかった。









今、こいつにとって一番大事な時期だし…









オレの頭ん中で、岸さんが言ってた言葉がぐるぐる回る。









アイドルの俺らに出来ることなんて、ほんとに何もない。






本気で惚れた女一人も幸せに出来ないなんてアイドルやってる意味…







.









「風磨…お前には本当に色々世話になったな。」








「中島ー何しみったれたこと言ってんの？」









「お前だって、あんなにAに惚れてたのにな…お前の分まで俺はAを幸せにしなきゃならなかったはずなのにさ…

ホントごめん…」







中島の目から大粒の涙が床に落ちた。









「謝んなよ…オレだっておんなじ。
オレの方がAを幸せに出来るって思ってお前から奪ったのに。

結局、Aを苦しめただけだった…


オレはAを幸せに出来るのは今でも中島しか居ないと思ってるからさ…」









こんなに真剣にAのことを語ったのは初めてだった…









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そしてこの日、オレの中で何かが変わったんだ。

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