2「夜の会社」 ページ3
定時が過ぎて、社員が次々と帰っていく。
まだ仕事をしている人たちもいて、私もその一人だった。
うちのチームの社員も帰っていく中、斜め前に座る目黒くんは帰る気配がなくて、パソコン画面と資料を交互に睨んでいた。
「目黒くん、そろそろ上がりなよ」
目黒「あ・・もうちょっと、先輩が修正いれてくれたやつ直してから帰ります。明日になると忘れそうなんで。」
「そう、じゃあお互い頑張るか〜」
目黒「はい(笑)」
気合いのガッツポーズをしたら、目黒くんが微笑んだ。
・
私が作業に夢中になって、たぶん2時間は過ぎた。
目黒くんはいつの間にか席を外していたから、きっと帰れたんだろう。
あともう少し。一息つこうと休憩スペースの自販機にふらっと立ち寄った。
コーヒーを買っていたら、近くのエレベーターの扉が開いて、出てきたのは帰っていたはずの目黒くん。
目黒「あ、先輩」
「目黒くん、帰ってたんじゃないの?」
目黒「先輩こそ、夕飯も食わずに仕事してたんですか?」
驚く私に、目黒くんが持っていたビニール袋から取り出したのは、おにぎり。
目黒「これ食べてください。そのままだと死んじゃいますから」
「そんな簡単には死なないよ(笑)でも、ありがとう」
目黒「その仕事、俺は手伝えないやつですか?」
「・・そういうわけじゃないけど」
目黒「先輩、後輩の仕事量の心配をしてくれてるのはめちゃくちゃありがたいんですけど・・・後輩は、先輩に任されるのも嬉しいんですよ?」
目黒くんは真っ直ぐな瞳を向けて、そう言った。
目黒「だから、もっと頼ってください。できることは少ないかもしれないけど、色んな仕事をこなして、成長していきたいんです!」
そっか、後輩くんの負担にならないようにしていたつもりが、余計気を遣わせてしまっていたのか。
先輩として、失格だなぁ。教育係のつもりが、目黒くんに教えられた。
「じゃあ・・・私の仕事、手伝ってくれる?」
目黒「はい!」
・
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みあ(プロフ) - スノ姫さん» スノ姫さん。コメントありがとうございます。素敵なリクエストです!参考にさせていただきます。 (2021年10月7日 0時) (レス) id: f3c1546d7f (このIDを非表示/違反報告)
スノ姫 - アラフォーだけど、付き合ってた彼氏に浮気され、別れた所で街をふらついて歩いてる所に男友達の深澤君と会い恋人になったと言うシチュエーションをお願いします。 (2021年9月26日 4時) (レス) @page1 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みあ | 作成日時:2021年9月25日 14時