2「紙一重の愛情と愚痴」 ページ20
私は誘いに乗った。断る理由はもう持っていなかったから。
彼は近くの居酒屋を手早く見つけてそこに入った。なんか久しぶりだな、居酒屋。
深澤「とりあえずビールでいい？」
「あ、うん」
最近はお酒も飲んでいなかった。できるかどうかも分からないけど、急に子供ができた時のために控えていたから。でももう、その心配もない。
深澤「なぁ、会って早々で悪いけど、なんかあったろ？俺の記憶じゃあ、そんな表情硬いやつじゃなかったし」
「分かるの？」
深澤「お前を見つけた時から思ってたよ。目に光が宿ってない」
彼は私の瞳を覗き込むように顔を近づけた。
深澤「言ってみ？なんも事情は分からないかもしれねぇけど、吐き出したほうが楽になることだってある」
でも、と迷っていた私だったけど、ビールが来て飲み始めたら、たかが外れたように話し出した。
付き合ってた彼氏が浮気をしていて一方的に別れたこと、今までどれほど家事をして、生活を支えてきたか、元カレは知らないけど私が我慢していたあれこれ・・・。
私ばかり話して、でも彼はつまみを食べながらも笑わずに聞いてくれる。横やりを入れることなく傾聴して相槌を打って、私の話を受け止めてくれた。
「というわけで・・貴方にばったり会ったんだけど」
深澤「俺の登場のタイミング悪かったなぁ。ごめん」
「いや、辰哉のおかげで愚痴を吐き出せたからよかった。ありがと」
深澤「あ、やっと呼んだね俺の名前(笑)」
それまで真剣な顔をしていた彼が、ふわっと笑った。昔と変わらない目の細め方だった。
深澤「それにしてもひどい男だね。ここにいたら俺殴っちゃうな」
「殴ってほしい。私じゃきっと力の差で勝てないか」
深澤「というよりは、愛した男だから殴れないって理由かもな」
そう、今はこんな男でもそれまでは愛してた。料理を作るのも、洗濯をするのも、支えるためならなんでもやったんだ。いつかの未来を信じて愛し合ってた。
深澤「っおい・・泣くなって・・」
こんなつもりじゃなかったと思うたびに涙が溢れた。止めたくても止められない滝のように。
私が心を落ち着かせる間、彼はずっと私の隣で背中をさすってくれていた。
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みあ(プロフ) - スノ姫さん» スノ姫さん。コメントありがとうございます。素敵なリクエストです！参考にさせていただきます。 (2021年10月7日 0時) (
レス) id: f3c1546d7f (このIDを非表示/違反報告)
スノ姫 - アラフォーだけど、付き合ってた彼氏に浮気され、別れた所で街をふらついて歩いてる所に男友達の深澤君と会い恋人になったと言うシチュエーションをお願いします。 (2021年9月26日 4時) (レス) @page1 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みあ | 作成日時：2021年9月25日 14時
