58「呼んでほしい」（深澤side） ページ10
”ずっと、ずっと好きで、中学生の時からの、私の初恋。久しぶりに会っても、やっぱり好きで”
お互いに中学の時から好きでいたなんて。もう10年以上も経っているのに。
片想いだと思っていた俺の恋心は、今、両想いになったみたいだ。
繋いだ手から伝わってくる温度は、好きになっていたあの頃より暖かくなっていた。
・
A「はい、喜んで。」
目を合わせて微笑んでそう言ったAは、恥ずかしくなったのか、俯いて顔を赤くした。
「よかった・・・！って、顔見せなさいよ(笑)」
A「やだ、恥ずかしいもん」
「相変わらず可愛いなぁ」
A「へっ？」
「あ、やっと顔上げた」
チャンスを逃さぬようにと、Aの顔を両手で包んだら、強制的に目が合う。
顔、ちっちぇな。
A「た、つやくん、？」
「辰哉、でしょ？」
A「・・・まだちょっと」
「なぁんでよ、俺の彼女になったんでしょ？？」
A「・・・うん」
「俺はAってずっと呼んでんのに、おかしいじゃん」
A「だって、Aって・・・辰哉くんに呼ばれるのも正直慣れてなくって・・ドキドキしちゃうから・・・」
うわぁ、何それ、可愛すぎる理由。
「俺も、辰哉って呼ばれて、ドキドキしたいんだけどなぁ〜」
そう言ってみれば、分かりやすく戸惑うA。言うタイミングを模索している様子が、小動物みたいでかわいい。
A「じゃ、じゃあ言う・・・」
「ん、」
A「た・・たつ・・・・・、辰哉、んっ、」
呼んでほしいとお願いしたのは俺の方なのに、どうにも愛おしくなってしまって、聞き終えたかどうかも分からないうちにキスをした。
・
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作者名：みあ | 作成日時：2021年8月30日 17時
