52「優しさの塊」 ページ4
深澤「水飲む？」
ペットボトルを手に戻ってきた辰哉くんは、私を見てフッと笑った。
深澤「まだボーっとしてんね」
「なんにも覚えてなくて・・」
深澤「前もそうだったね(笑)お酒飲むと記憶なくすタイプなの？」
「普段はそんなことないんだけど・・たかが外れちゃうと、そうかも。」
ありがとうと水を受け取って、体内に流し込む。
深澤「じゃあ、俺の前以外で酒飲むの禁止にしちゃう。」
「なんで？」
深澤「この世の中はね、俺みたいに優しい人ばっかじゃないの。さらわれちゃったり、襲われちゃったりするかもなんだよ？だから、ダメ。」
まるで子供に言い聞かせるように言う。
「そんなこと、ないって」
深澤「ある、女の子なんだから。」
「私に、そういう経験ないので」
深澤「ないなら尚更だよ。」
「・・・なんでそんなに心配してくれるの？」
深澤「それは・・・Aが、大切だから、かな。」
流れで言った質問に答えた辰哉くんの顔が、少し血色を帯びた気がした。
「やっぱり優しい、辰哉くんって。」
深澤「なんだよ急に、」
「ううん、なんでもない。」
素直に褒めて照れた辰哉くんが可愛い。
深澤「頭痛、ない？薬あるけど。」
「んー、大丈夫っぽい。ありがと。」
ほら、
「優しいなぁ。」
深澤「そんな褒めても何も出ないよー？(笑)」
少し笑った辰哉くんを横目に水をまた少し飲んでいたら、あ、と辰哉くんが呟いた。
深澤「じゃああれも覚えてないの？Aの友達の恋愛話。」
「恋愛話？」
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作者名：みあ | 作成日時：2021年8月30日 17時
