63「変わらない関係で」（康二side） ページ15
そりゃもう、最初から分かってたよ、告白の返事がどうかなんてな。
だって、たつやくんの話はよくしていたし、そのたつやくんとバーで会ったときも、Aはたつやくんばっかり見てたしな。
「その辰哉くんとね、この前付き合うことになって・・」
先手を打たれていたか。というか、先手は俺の知らないAが中学生のときから打たれてたのかもしらん。
康二「じゃあ尚更俺を振りやすいやんか。何を困ってる顔してん(笑)」
「康二くんに好かれて嬉しい気持ちと、せっかくの気持ちを踏みにじるのは嫌だなって、」
どこまで優しいんやAは。でもその感情は、たつやくんが嫉妬するで。
康二「Aが好きな人と付き合ってるんやからおめでたいことやろ？おめでとうやで。・・・俺とは、変わらず友達の関係でいてくれればいいんやで。断って、気持ちを踏みにじるとかやないで。大丈夫やから。」
「そっか・・・」
康二「そやで。」
「・・付き合ってる人がいるので、ごめんなさい。」
康二「うん、」
相手から振られるために励ましてるなんて、傍から見たらおかしなことになってる。
やっぱり、いざ言われるとつらいな。
でもこれで、俺もきっぱり諦められるかもしれん。
康二「俺とは、友達の関係でいてくれるよな？」
「それはもちろん！」
康二「たまに寂しくなってLINEするかもしれんけど、たつやさん怒らないかなぁ。」
「それは・・分からないけど(笑)康二くんは大切な友達なんで、って言っとくから！」
Aに笑顔が戻った。そう、その笑顔が好きやったんや。
康二「じゃあ、俺は大阪に帰るで。お見送りとかいらんから。それは遠距離の恋人同士がやるもんやからな(笑)」
「そうとは決まってないでしょ？(笑)」
康二「帰ったらLINEするかもやから、それにスタンプでも押してくれたらそれでいいで。」
「分かった。じゃあ待ってるね、そのLINE。」
康二「ほな、また会える日までな。」
振り返らずに、駅へと向かった。
俺の淡い恋心は、儚く散ってしまった。
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作者名：みあ | 作成日時：2021年8月30日 17時
