7「知り合い」 ページ8
「は、はい！」
突然の君の登場にびっくりして声が裏返った返事をした僕は、数人の視線を集めながらドアのそばに立つ君の元へ駆け寄った。
『これありがとう！おかげで小テスト満点だった』
ヒラヒラと100点満点の紙を見せてきた。
「役に立てたなら良かった。それにしても英語1時間目じゃなかった？すごいね」
『阿部くんの字とまとめ方が綺麗で分かりやすかったからだよ』
「いやいや・・・」
深澤「そうだよね、阿部のノート分かりやすいよね〜」
「・・・え？」
しれっと会話に入ってきたのはふっか。
深澤「でも俺、そのノートがなくて今日の課題増えたんだよね」
『？』
「コラふっか、嫌味言わないの。ごめんね、コイツのことは気にしないで？」
ふっかを制していると、ふふっと笑われた。
『阿部くん、コイツとか言うんだ〜。意外だね』
深澤「そうなんだよ、俺に対しては口悪いの。お行儀悪いよね」
ご近所さんの世間話みたいに、僕をチラッと見ながら会話する二人。
深澤「ところで、二人は知り合いだったっけ？俺は初めましてなんだけど？」
「あぁ、えっと、」
『うん、知り合いだったよね？』
君が目を合わせてきた。まぁ、4時間くらい前からだけど。
深澤「それなら教えてくれたら良かったのに・・俺らズッ友なのにさ」
「ズッ友・・って古くない？」
深澤「あっそう？(笑)ま、いいや。俺は深澤辰哉ね。ふっかって呼んで。君は？」
『AAです』
深澤「Aちゃんね、りょーかい」
初対面なのに距離を詰めるのが早いのが、ふっかの凄いところ。これで本人は人見知りだなんて言ってる。
『じゃあ、またね』
教室の時計を見た君は、用事が済んだからか別れの言葉を言った。
深澤「もう行っちゃうの？」
『用事があるから』
深澤「そっかぁ、じゃあさ、これも縁だし友達になってよ。阿部に免じて」
「俺に免じて・・って何だよそれ」
『もちろん、いいよ？阿部くんに免じてね』
僕を見て微笑んだ。
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作者名：みあ | 作成日時：2023年10月16日 1時
