8月の群青【緑】 (ページ5)

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4「音色の正体」ページ5

昇降口で靴を履き替えて、音楽室がある4階まで階段を上っていく。

先頭を歩く君が、ときどきちらっと後ろの僕を確認する。

『ねぇ、阿部くん』

「な、なに？」

突然声をかけてくるからびっくりする。

『阿部くんって図書委員？』

「そうだけど・・それがどうかした？」

階段を上りながら聞いてくる。

『昼休みとか当番で図書室を開けたりする？』

「うん、当番だとずっと図書室にいる」

『そっか・・私のピアノ、うるさいって思う？うるさいならやめるんだけど』

4階には西側に音楽室があって、東側の角には図書室がある。

昼休みになると聞こえてくるその音色たち。

それをうるさいとは思ったことないけど。

それに、ある程度防音されているから、図書室には聞こえてきたことはないかも。

・・・っていうか、

「あのピアノ、Aさんなの！？」

『そうだよ？』

「先生が気晴らしに弾いてるのかと思ってた・・・」

『まさか、先生はそんな暇じゃないって(笑)』

図書室に行くときに小さくピアノの音が聴こえて、良いBGMだな～なんて思っていたんだけど、

「そうだったんだ。いつも素敵な音色だなって思ってた」

『・・そう？ありがと』

素直な感想を言ったら、ちょっと嬉しそうにしてた。

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