1「空から落ちてきたものは」 ページ2
昨日は夕方からのゲリラ豪雨が激しかった。
今日は朝から晴れの予報。
通学路の水たまりも、もうすぐで干上がりそうなくらいの日差しの強さ。
本格的な夏が始まりそうだなぁと高校生ながら思った僕は、今とても急いでいる途中だ。
起きるのが5分遅かったから。
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校門に着いたのは、7:30。定刻通りで思わず小さくガッツポーズ。
とはいえ、普通に考えると登校するには早すぎるくらいの時間。
なぜこんなに早く学校に行くかというと、この時期僕は勉強が好きだった。
家より学校のほうが集中できるからと、朝早く登校しては自習する日々を過ごしていた。
・
ランニングをしている生徒を横目に昇降口へ向かう途中、
?「楽譜!!キャッチしてぇぇ!!!」
「・・・え?」
上から聞こえた必死な声に慌てて見上げると、紙がヒラヒラと落ちてくる。
反射的に避けようとしてしまったけど、足元の土は昨日の雨でまだ濡れていたはず。
「よっ・・・と!」
小さな水たまりに落ちる前に、ギリセーフでつかみ取った紙。
?「ナイスキャッチ!!今行くね!」
その声の主は女の子だった。4階の窓から身を乗り出してグーサインをしている。
何だったんだ?
手元には少しグシャッとしてしまった楽譜。
突然空から落ちてきたものが楽譜なんて、人生でそうあることではない。
僕はしばらく唖然としていた。
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作者名:みあ | 作成日時:2023年10月16日 1時