大王様と女王様【及川徹】

女王様22 ページ24

体育館に入ると、途端にギャラリーが静まり返った。



「こんにちは、飛雄」


「元気に王様やってる〜？」



私達の姿を見ると、飛雄は嬉しそうに駆け寄ってきた。



「お久しぶりです、Aさん」


「ちょっと！俺に挨拶は！？」


「Aさん元気そうで安心しました」


「ねえちょっと！！」



私は飛雄の頭を優しく撫でた。

可愛い可愛い人形。
主に忠実。素直。扱いやすい。



「……A。夢咲ちゃんの顔、見た？」



徹の囁きに横目で桜ちゃんを見れば、目を見開いて私達をじっと見ている。



「ふふっ。面白い顔」


「やっぱりアイツがターゲットなんですか？」



飛雄の言葉に私は浅く頷いた。



「そうよ。可愛いでしょ？」


「アイツ、さっき俺に話しかけて来たんすよ」



飛雄がじろりと桜ちゃんを見る。



「……へえ。想像以上に面白い事になりそうね。飛雄、手伝ってくれる？」


「もちろんです！」



飛雄が頷いたのを確認して、徹が私の腰から手を離した。



「そろそろ試合しないと。アップしてくるね」


「行ってらっしゃい。飛雄も戻りなさい」


「うっす！」



2人がコートの方に行くのを見てから、私は桜ちゃんに近寄った。

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