大王様と女王様【及川徹】

女王様12 ページ14

「あの、A先輩！」




桜ちゃんが私の服をくいっと引っ張った。




「…………」




私は掴まれた服の裾を見下ろす。




「あ！すみません……！！」




桜ちゃんは慌てたように手を離して、もじもじしながら私を見た。




「……何の用かな？」


「えっと、その……」




これ以上ないくらい顔が赤い。

……大方、徹の事について聞きたいのかしら。




「その、及川先輩って彼女とか……居たりしますか……？」



「ふふっ……あはははは！！」




私は予想外の言葉を聞いて思いっきり笑った。

何言ってるの、この子。




「そうねぇ……。本人に聞いてみたら？」



私が目尻に溜まった涙を拭きながら答えると、桜ちゃんは困ったように頷いた。



「そ、そうですよね……」


「ねえ、1つ忠告しといてあげるわ」


「忠告ですか？」


「そう。身近な人の動きをしっかりと見なきゃダメよ」


「……？わかりました！」




金田一くんが傷ついちゃうでしょう？









「ふふふ……」



あぁ、面白い。

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