大王様と女王様【及川徹】

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「今回の入部希望はこれで全員かな？」




徹が入部届けを確認しながら聞く。




「徹。ちょっといい？」


「ん？あぁ、いいよ」





私は一歩前に出て、マネージャー希望だと言う1年生の顔を一人一人見ていった。




「ねえ、あなた達。どうしてここに入ろうと思ったの？」




私の質問に1年生がざわざわと騒ぐ。




「早く質問に答えて」




私がそう言うと、1人の女の子がおずおずと手を挙げた。



「私、マネージャーやってみたくて……。ここのバレー部は強い事で有名ですし、皆さんのサポートになればと……」

「却下」



私はその子の話の途中で首を振った。




「どうせ、徹の“顔”が目当てでしょう？ならいらない。帰れ」


「いえ、私は……！！」


「……なら、あなただけは入部を許すわ。それ以外は帰りなさい」


「……Aがこう言うんじゃ、しょうがないね。みんな帰ってくれる？」




徹の言葉に全員帰って行った。



「あ、あの……」



おずおずと口を開く彼女に微笑みかける。





「お名前は？」


「……夢咲、桜です」


「桜ちゃんね、よろしく」


「！はい！！」









あ〜あ。そんな嬉しそうな顔しちゃってさ。




これからどうなるか知らないくせに。

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