2.5次元のキセキ。泉奏2 (ページ17)

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65話奏side ページ17

俺の目は重ねた紙に向いている。

主「⁉︎」

だから、日向さんが驚いているのに気づくのに時間がかかってしまった。

…？これは…手？

日向さんの手…？

奏「…⁉︎ す、すみません！」

反射的立ち上がってに2人で手を引っ込める。

主「あ…ごめん…。」

奏「俺のほうこそ、すみません。」

やってしまった。

触れてしまった。

あの日に言われた言葉が蘇る。

"やめてよ！触らないで！奏はエリカさんのものなんだから！気安く他の女に手を出しちゃ…"

日向さんは…驚いている。自分の手を見つめて、動かない。

また…このせいで関係が…

でも、無駄にしたくはなかった。

このチャンスは絶対に…。

主「あ、ううん、平気…。ねえ、奏君。」

奏「久しぶりですね。」

主「えっ？」

奏「こうやって日向さんと話すのは久しぶりですね。」

主「そう、だね…。ごめんね、私のせいでこんなんなっちゃって。私、ずっと謝りたくて…本当にごめんなさい。」

そう言って日向さんは頭を下げた。

奏「え、あの、頭をあげ」

言い切らないうちに日向さんが話し始めた。

謝らなきゃいけないのは俺も同じなのに、日向さんは必死になって謝ってくれた。

俺は…なんて返せば良いのだろう。

どう言ったら日向さんを安心させられるのだろう…

奏「とにかく、顔を上げてください。」

そして俺は、"友達でいたい"と聞こえてきたことを思い出し、しっかり日向さんの目をみて

奏「いいんですよ。大丈夫です。俺は、これからも日向さんと友達でいたいです。」

こう言った。

主「ほんと、に？」

奏「はい。もちろんです。

俺、日向さんと話せなくてすごくさみしかったんですよ？

今みたいに目だって合わせてくれなかったですし。

部活でも一切関われなくて。

俺だってライブをこのままむかえたくなかったですから。

すごく嬉しいです。

なので、これからもよろしくお願いしますね。」

日向さんは手で顔を隠し、頷いた。

良かった。

すごく嬉しかった。