時給いくらで買えますか？【禪院甚爾】

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No side





「今日は色々話を聞いてくれてありがとうね、まだ話したりないからまた今度お茶でもしましょうね」




そう言って上機嫌に笑うおばさんに対して





A 「(お店に頼んでブラックリストに入れてもらうので金輪際あなたとは関わりませんけど)ご利用ありがとうございました」





張りぼての笑顔でそう返したA





駅に向かって歩いていくおばさんの姿が見えなくなった時


どっと疲れが舞い降りてきた





その疲れをしみじみ感じながらAは帰りの電車に向かった













お昼過ぎの車内、子連れの家族の和気あいあいとした会話が聞こえる中


Aの心はいつにもまして晴れなかった









このバイトも夜のバイトも冷やかし目的で来る客は一定数いる


今日のおばさんだってその類の人で「料金を払ってもらえるなら何を言われたって気にならない」っていつものように割り切ってしまえばいいのに、それができないのだ


態度が豹変するおばさんへの対応で疲れたというのもあるが、一番の原因は、、、









“魅力の欠片もないあなたなんて！！すぐに甚爾に捨てられて地獄を見ればいいんだわ！“





このおばさんの一言だ





別に魅力無いなんてことないでしょ、


顔だって不細工じゃないし、体だって太っても痩せすぎてもないし


そもそもそれなりの魅力が無いとこのバイト続けられないし






そこそこ自分に自信のあるA、おばさんの一言で完全に“拗ねている”のです






だって今までの客はみんな綺麗だって言ってたし


甚爾さんだって顔は良いって、、、






いやでも、、顔以外で甚爾さんに何か褒められたことあったっけ、、


「悪くない」とは言われるけどそれって、良くないけど悪いと言うのは可哀想だから気を遣って言った言葉であって、甚爾さんが気を遣うレベルで私に魅力が無いということでは、？





いやいやいや、お客さんにはいつも褒められるし、、


甚爾さんは私の魅力がわからないアホということでは、？






自己肯定感が超高いAちゃん、おばさんの一言から飛躍しておバカな思考が止まりません








落ち着け私


別に甚爾さんにどうな風に思われていてもどうでもいいじゃない


逆にあんなヒモ男に褒められたって嬉しくないし


私の魅力がわからないあの人が悪いし


そういうところもムカつくし









でも、、









甚爾さんにとって魅力が無いなら、私は捨てられてしまうのだろうか、

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