時給いくらで買えますか？【禪院甚爾】

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No side








A 「私は、自分の不幸が自分のせいだと思いません」







キッパリとした言い方でAは告げます







A 「当たり前ですよ、不幸は身の回りの環境のせいです、なんで私が悪いみたいになるんですか」







ここでも文句を言うA、



そんないつも通りの姿勢の彼女が甚爾の目にはどう映るのでしょうか








A 「『全部あなたが悪い』と言われたことがあります、今でもずっと頭から離れてくれない言葉なんですけど、どう思います？」







片眉を上げながら甚爾を見るA







甚爾 「いや、どうって、」







急にそんな事を聞かれても、という感じの甚爾


何しろ答えにくい質問です








A 「ムカつきませんか？私は思い出す度ムカついて仕方ないですよ」






何かのスイッチが入った様子のA







A 「『生まれてきたお前が悪い』なんてもっとムカつく言葉です、なんで私が悪いんですか、産んでくれなんて頼んでないですし」







だからと言って死にたいわけじゃない、と続けます







A 「不幸にも終わりがあります、それをどうにか終わらせて幸せになるんですよ、幸せになってムカつく奴らを見返してやって、私はその為に生きてます」







どこまでも強気なAの話を聞いている甚爾






彼の中でAと何かが重なります




そう、幼い頃の自分です





いつか見返してやる、と頑張る姿はまるで同じです






結局、自分は何も成し遂げられず家を出たわけですから、




目の前の女もずっと不幸のままなんじゃないか



きっとどこかで心が折れて



誰の目にもとまらない透明人間に成り果てて



死にたくないと生きたくないの狭間でずっと彷徨って



でも誰かに肯定してもらいたいなんて淡い期待が捨てきれなくて




自分の不幸は自分のせいだ、と禪院家(アイツら)が言った事を翻したいのに、受け入れる他なくなって





そういう自分のような生き方しか出来なくなるのではないか、と考えがよぎります










しかし、








A 「自分を幸せに出来るのは自分です、本当に自分のせいならその時は反省して、その他の理不尽な事は全部自分以外のせいにした方が楽ですよ」







Aはずっと強いんです



面倒くさくて、図々しくて、



甚爾がつい淡い期待を向けてらしくないことを聞いてしまう程にAは強いんです

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