時給いくらで買えますか？【禪院甚爾】

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Aside








なぜこの人は時々そういう寂しそうな顔をするのだろうか








A ｢忘れたい物ほど忘れられない、それはあなたの経験でしょうか？｣







ヒモ男は何か考えるように前を見つめた


そして







甚爾 ｢どうだろうな｣







そうやってはぐらかした




それを聞いて少しだけ笑ってしまう








甚爾 ｢何笑ってんだ？｣








A ｢不本意ですけど、あなたと私は少し似ているなと思って｣







さっきの質問を私がされたなら、きっと甚爾さんのようにはぐらかして答えていたと思う







似ている、と言われたのが余程嫌だったのか顔をしかめるヒモ男


こちらも似ているのは不本意ですけど、








A ｢これは私の憶測ですけど、ろくな人生歩んでないですよね？言い換えると“不幸”な人生ですよね｣







甚爾さんの過去なんて何も知らないから


あくまで私の憶測だけれど、





無言の甚爾さん、それは肯定の意を表しているように見える








A 「嫌な思い出ってずっと根を張っていてふとした瞬間に襲ってくるんです、そういう落ち込む時ってありますよね」







母は怒鳴り散らしてする人じゃなかった



ずっと黙ってただひたすらに、、、




だから尚更母に言われた事は覚えている




『全部あなたが悪い』




その一言、その一言だけがずっと付きまとって離れてくれない







A 「でも自身の不幸は受容しているはずなのに、自身の幸福を諦めきれないんですよ」







だからあなたは時々寂しそうな顔をする


心のどこかで期待をしているから、寂しいという感情が出るんだ







A 「私はそういう感じですけどあなたもですよね？」






あなたも同じであって欲しいと、これも一瞬の期待なのかもしれない



ちらっと甚爾さんの顔を覗いてみたが


何を考えているのか分からない顔をしていた







少しだけ静かな時間が流れて、甚爾さんが口を開く








甚爾 「、、、お前は自分の不幸は自分のせいだと思うか、？」







返ってきたのは質問に対する答えではなく、



新たな質問





質問を質問で返すなと言ってやりたい所だが、




そういった質問をするって事は



もはや質問の答えは出ているな





そう思い、わざわざ言及しないことにした







それからキッパリと、






A 「私は、自分の不幸が自分のせいだと、、、

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