時給いくらで買えますか？【禪院甚爾】

29 ページ31

Aside








夜職でも漁師でもないのなら、ヒモ男の職業はぜったいにヤバいやつだ



何かあった時のため、知らないでいる方がいいだろう、





そんな気がして詮索するのは辞めた



















スタンド席についてしばらくするとレースが始まった







私が１着予想したのは真っ黒の馬だ





席から馬までは距離がある



遠目から見てもかっこいい馬だ








ゲートが開いて勢いよく走り出す馬達





しかし、






A ｢、、ダメですね、私の３万消えました｣






スタートに失敗したのか私が３万円をかけた黒い馬は一番後ろに





最後尾からのスタートで1着は狙えないと、諦めて言うと、







甚爾 「諦めが早ぇよ」






A 「いやだって、一番後ろですし」






甚爾 「追い込みだからだろ」







追い込み、？



それは何なんだ、という顔をしていると






甚爾 「最後の直線で前に出る戦法なんだよ」







なるほど、


最後に頑張る馬だから、まだチャンスはあるってことか






A ｢じゃあ甚爾さんのはどうなんですか？｣






聞くと、


ひょいっと指をさす甚爾さん






甚爾 ｢１着予想はあれだな｣






もちろん、どこを指さしているのか分からない






A ｢あれって言われても、、｣






はぁーっと面倒くさそうなため息が聞こえる






甚爾 ｢1番先頭を走ってるやつ｣






そう言われ、先頭の馬を見てみると、






A ｢速いですね｣






2番手の馬と大きな距離を開けている






甚爾 ｢あれは逃げ馬だな｣






A ｢逃げ馬、｣






甚爾 ｢１着をキープするって戦法だ｣






なるほど、



他にもちらほらとヒモ男の解説を聞きながら、走る馬を見る







A ｢そういうのって出走表とかどこかに載ってましたっけ？｣






甚爾 ｢こういうのは載らねーんだよ、あくまで予想だ｣






つまりこれはヒモ男の予想、



そう言われると一気に信用が無くなる気がする、、






甚爾 ｢てか、俺説明したよな？さっき｣





さっき、、、


あー、




A ｢説明が下手すぎるって言いましたよね？さっきのあなたの説明なんてほとんど頭に残ってないですよ｣






下手で悪かったな、と舌打ちしながら言うヒモ男







A ｢いいですよ、別に、今のあなたの説明は分かりやすかったので｣

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す