時給いくらで買えますか？【禪院甚爾】

24 ページ26

Aside







A 「、、何ですか」






いつの間にか帰ってきていた甚爾さん


声をかけるとサッと前髪が目にかかる






甚爾 「悪い、」






ああ、なるほど


隠していたわけじゃないけど


普段は化粧で隠してるし、寝る時はいつも背を向けてるせいで気づいてなかったのか




少しだけ身体も楽になったので上半身を起こすと







甚爾 ｢それ、どうしたんだ｣






それ、と言うのはきっと私の額の跡のこと



あまり昔の話はしたくない、






A ｢さぁ、、覚えてないです｣







甚爾 ｢言いたくないならそう言えよ、｣







A ｢じゃあ、言いたくないです｣







あっそ、とそっぽを向く甚爾さん








A ｢逆に聞きますけど、その口元の傷はどうしたんですか？｣






口の右端にある傷、


これだけしっかり残っているのならきっと深い傷だ







甚爾 ｢、、、忘れた｣






A ｢さっきあなたが言ったことそのまま返しますよ｣






甚爾さんの距離の取り方は心地いい




言いたくなったら言えばいいし、聞きたくなったらまた聞けばいい

相手に干渉しすぎるのも自我を押し付けすぎるのも良くない


他人との距離はそれくらいがちょうどいいんだと思う






甚爾 ｢ほらよ｣






そう言って手渡されたサラダチキン


私の好きな食べ物だ






A ｢ありがとうございます、次いでに水取ってきて欲しいです｣





お礼と共にちょっとしたお願いをする



立ち上がるのが億劫なのでこれくらいの我儘は許して欲しい




面倒くさそうな顔をしながらもちゃんと水を持ってきてくれた






A ｢ありがとうございます｣







1口飲んでからチキンを食べ始めると


甚爾さんも買ってきたパンを食べ始めた

25→←23

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す