時給いくらで買えますか？【禪院甚爾】

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No side






日も沈み、夜の街が活気を帯びてきた頃





ホテル街を歩いている1人の男





今日泊まる宿を探しているようです





しかし、女を引っ掛けようにもどうも気が乗らない様子






甚爾 「ﾁｯ､」





舌打ちしながら同じ場所を歩き回っています





それもこれも朝の理不尽な女のせい







禪院家で落伍者扱いされて育った甚爾にも



幼い頃、熱を出して苦しんだ思い出はあります




熱を出した時というものは、いつもは平気でも心細くなったり、孤独を感じて辛くなるものです


それは幼い頃の甚爾も同じでした



しかし、



どんなに高熱を出してしんどくても誰も相手をしてくれない


助けを求めても、落ちこぼれがいい気味だ、と呪霊だらけの部屋に閉じ込められ





辛いとか寂しいとか今では全く感じない事をその当時は感じていました





そういう辛さを少しは覚えていたので、Aに気遣いにも満たない気遣いをしたのです



ですが、







______ あなた育ち良いですよね、食べ方が以上に綺麗なんですよ、、そういうのムカつきます、


、嫌いです、あなたみたいな恵まれた人、、______






最悪の育ちをした自分、


勝手に恵まれた人だと決め付けられ、私は恵まれてない人だから云々、と言われた事が単に不快だったのです










悶々と歩いていた甚爾ですが、


ある所で足を止めました






甚爾 「、、、」






そこは初めてAと出会った所




そういえばあの時、変な男にAは襲われていたなと思い出す甚爾







何故こんなに気が晴れないのか、




自分が恵まれた人で無い事は明らかですが、かと言ってAが恵まれた人だとは言えないからです





お互いの事は何も知らないので推測でしか言えませんが




もしかするとあいつは自分より辛い思いをして生きてきたのかもしれない、


もしかすると自分は禪院家の奴らが自分にした事と同じようなことをあいつにしているのかもしれない、



もしそうならあいつの発言は的を射ていてそこに怒るのはお門違いだ





熱で苦しむあいつを一人ぼっちにさせているのは自分、





でも、ムカつくから出ていけと言ったのはあいつだしな




寂しかろうが辛かろうが自業自得だ





と、考えがぐるぐる頭の中を巡るのです







結局、居てもいなくてもめんどくさい事この上ないと



頭をくしゃっとかいて再び歩き出しました

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