時給いくらで買えますか？【禪院甚爾】

9 ページ11

Aside






今日は休日なんかじゃない


12:30からバイトが入っているのをすっかり忘れていた


トイレしながら思い出せたのが奇跡だ






確か待ち合わせはあの駅で、、、






駆け込み乗車で乗り込んだ電車


念の為今日のバイトについて再確認しようと思ったのだが





携帯が無い、




急ぎすぎて家に置いてきたのだ






今日の人は5、6歳年上の人で名前は吉田遥斗さん


初回の人で要望は特になかった気がする






よし、


大体の内容は覚えてるし携帯は無くても大丈夫

















待ち合わせの駅のトイレの鏡で身なりの確認をする





問題無し





改札を出て人を探す









相手の顔は分からないので声を探すのが1番めんどくさい




でも、





あの人かな、





視線の送り方と事前に細かく指定した待ち合わせ場所





相手を見つけたら気持ちを仕事モードに切り替えて近づく






そして、










A ｢すみません、、吉田遥斗さんでしょうか、？｣






少しだけ自信の無さそうな困り顔でそう言うと





｢あ、はい！僕です！｣






A ｢やっぱりそうですよね！｣







愛嬌たっぷりに微笑んで



嘘にまみれた自分を作り上げる





｢スギモト レイ(・・・・・・)さん、、ですよね？｣







A ｢はいスギモト レイ(・・・・・・)です、本日は御利用頂き誠にありがとうございます｣






気を引き締めて礼をして






A ｢それじゃあ行きましょうか！吉田さん｣






これは心を売るバイト





中身空っぽで薄っぺらい架空の人間



スギモト レイ(・・・・・・)として







私はこの人の彼女になる

10→←8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す