それでも空は 3 【夏油傑】【五条悟】 (ページ47)

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Aside

呪術師になった理由なんて、家から逃げるための口実にすぎなかった

楽しければそれでいいと思ってた

呪霊とか人間とか、殺す事が楽しいなら別にそれでいいじゃないか、と

高専に来てからも呪霊を祓うのは自分の強さを実感出来て楽しいと感じていたし

そんな終わりきった倫理観を持った私を傑は否定した

そして教えたのだ

“呪術は非術師を守るためにある”

呪術師として、人を助けて感謝をされる

慈しみ合い助け合う、それは人間にしかできない素晴らしいことなんだと

人の醜さも美しさも、全部をまとめて“人”を愛でる傑を見て

それが至極真っ当な事だと思うようになっていった

傑は私の指針だ

間違った私を正してくれる、進むべき道を指し示してくれる人なんだ

だから、

A 「私どうしたら、いいの、、」

あの時も今も、アイツらを殺してやりたいって思いが消えてくれないのはどうしたらいいのかって、

また間違ってる私に、正しい道を教えてよ

A 「私はｯ、、正しく、在りたいの、ッ、、だから、助けて、」

こんな風に誰かに自分の心の内を明かすのは初めて

ボロボロと溢れる涙で視界が滲む

傑がどんな顔をしてるかなんてわからないけど

きっと、傑は私をわかってくれる

わかって欲しい

無知で馬鹿で意気地無しの私を

頭の隅に追いやった事をすらすらと紐解くように引き出す事が出来てしまうのはあなただけだから

説明のつかない苦しい感情を抱かせるのもあなただけだから

こんなにも私を人間らしくしたのはあなたなんだから

_____"UR MY SPECIAL"

あなたは私の特別だから______

目尻に暖かいものが触れた

止まらない涙を拭ってくれるのは傑の手

それまで静かに聞いてくれていた傑が口を開いた

夏油「そんなに泣いたら目が腫れちゃうよ」

今まで聞いたどの傑の声より優しくて穏やかで

そんな風に言われたら、そんな視線を向けられたら、

もっと泣いちゃうから、

A 「傑ｯ、」

大泣きする私を傑はそっと抱き留める

右手は頭を左手は背中を包んでくれて

傑の胸元は私の涙で濡れてる

夏油「大丈夫、Aは何も間違ってないよ」

頭の上から降ってくるのは暖かい言葉