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夏油side
悟と硝子が中々帰ってこない
Aと2人きりになったのはただの偶然
その偶然の出来事に少しだけ浮ついている自分がいる
自覚があるのかは分からないがAは容姿端麗だ
浴衣姿でいつも以上に綺麗で
でも彼女の良さはそれだけじゃない
両手にできたマメの痕、ちらほら見える傷跡
女性にしては珍しいほど鍛えられた体
全て彼女の努力の証だ
力に貪欲で知識に関して勤勉だ
そういう彼女の強さが好きだ
その反面、彼女は世間知らずで幼い所がある
白い布のようで何にでも染まってしまう
いい意味でも悪い意味でも染まりやすい
何か教えてあげる度に彼女は喜んでくれる
その笑顔を向けるのは私だけでいい
君が何かに染まるくらいならいっそ私が、、
そんな事を考える私はイカれているのだろうか、
横目でAを見てみると、何やら考え込むように唸っている
かと思えば、吹っ切れたような顔をする
誰だって可愛いと思ってしまうだろう
ヒュー.....ドンッ
花火が上がり始めた
夏油 「始まったね」
A 「おぉ!」
轟音と共に夜空に火花が咲いていく
形をとどめるのは一瞬だけで、すぐに散ってしまう
儚い夏の風物詩
案の定Aは目を奪われている
彼女の瞳に反射する花火に見入ってしまう
夏油 「初めてかい?」
そう聞くと、
A 「こんなに近くで見るのは初めて!」
花火から一瞬だけ視線が外されこちらへ向けられた
たったの一瞬、
私だけに向けられたその笑顔
それが私にとっては何より価値のあるもので、
ああ本当に、、
私は手遅れな所まで来てしまったのかもしれない
“初めて”の瞬間に見せるその表情を私だけのものにしたい
彼女の全ての“初めて”を独り占めしたい
溢れてくるのは欲ばかり
A 「きれいだね」
空に見とれている彼女に手を伸ばした
夏油 「綺麗だ」
君がね
彼女の左頬に右手が触れる
両手で包み込めそうなほど小さい
ビクッとしてAがこちらを見る
A 「どう、したの、?」
言ってしまっていいんだろうか
困らせてしまうんじゃないか
迷った末、
夏油 「好きだよA、」
言ってしまった
これは大きな過ちだ、
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きゃりー(プロフ) - hinaさん» ちょっと可哀想ですよね笑 (8月17日 2時) (レス) @page50 id: 6e7a74487c (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - 夢主さん金魚のフン・・・(笑) (8月16日 11時) (レス) @page49 id: 9425f0e88a (このIDを非表示/違反報告)
きゃりー(プロフ) - hinaさん» ありがとうございます!! (8月8日 10時) (レス) id: 9485feed94 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - 懐玉・玉折編の始まり方カッコイイ・・・! (8月7日 22時) (レス) @page32 id: 9425f0e88a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃりー | 作成日時:2023年7月25日 16時