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No side
『これ面白い玩具やな、よう見つけたな』
約50名の信者が床にひれ伏し、それを上から眺める獏
獏はそのまま最前の信者へ声をかける
『顔上げろよ、お前ら俺を信じてんねんやろ?俺を神様みたいに崇める信仰心にびっくりするわ』
「そのようなお褒めのお言葉、有難く存じます、獏様、どうぞ我らにお導きを、、」
最前の男は頭を垂れたまま震える声で言った
『は?別に褒めてないねん』
ガハっと笑いながら獏は男の頭部を蹴り飛ばした
飛び散った血が信者の白装束を染めてく
『勘違いすんのはまぁ許す、昔から変な噂流れてたからなぁ』
誰に喋っているのかもわからない口調でしゃべり、獏は雛壇の上にあった椅子へと座る
『でもこんな風に俺を神様にするのは違うよなぁ、自分が誰かに縋りたくて願いを聞いてもらいたくて、そんなクソみたいな理由で人間は神を作る
いつか願いを叶えて貰えると思って死んでいくねんから幸せや、別に願いが叶った叶ってないは問題じゃない
そういう信仰心を持った自分に酔うことが幸せなんや
じゃあ逆に信仰される神はどうなんや、自分とは全く関係ない奴から願われて縋られて
自分の幸せにしか興味なくてこっちの幸せ考えたことあるか?
人の気持ちを考えよう、てガキの頃に習うやつやろ
勝手に俺を出して勝手に信じて願い事叶えろとか
キショいわほんま』
ここにいる信者の獏に対する信仰心は本物であった
受け継がれた獏の伝承は“万人の悪夢を喰らい信じる者の行く末を導く”というもの、それだけなら他の宗教と大差がない
獏の場合は信仰すべき対象が実際に存在しているという事実が大きかった
目に見えない者に縋るより目に見える神に願いたいという事だ
器の中に閉じ込められた獏の解放は獏が望んでいる事だと考え、
獏を解放し神として崇めることに大義を見出したのだ
しかしそれは所詮、幻想に過ぎなかった
『じゃあお前らは俺に殺されても嬉しいってことか?』
その問いに、声は発さずとも頷く者ばかり
『ハッめっちゃキショいやん』
上機嫌に獏は笑った
『もういいわお前らおもんない』
ここにいるのは神では無い、呪霊だ
『_______』
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きゃりー(プロフ) - hinaさん» ちょっと可哀想ですよね笑 (8月17日 2時) (レス) @page50 id: 6e7a74487c (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - 夢主さん金魚のフン・・・(笑) (8月16日 11時) (レス) @page49 id: 9425f0e88a (このIDを非表示/違反報告)
きゃりー(プロフ) - hinaさん» ありがとうございます!! (8月8日 10時) (レス) id: 9485feed94 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - 懐玉・玉折編の始まり方カッコイイ・・・! (8月7日 22時) (レス) @page32 id: 9425f0e88a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃりー | 作成日時:2023年7月25日 16時