素直な君と、素直じゃない僕。 (ページ35)

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35 Jisung side. ページ35

最悪だ。

ジェノヒョンがAヌナを見つけるなんて。

「だから違うってば！！！」

何回否定しても、ニヤニヤしながらからかい続けるヒョンたち。

もう反抗してもしょうがない。

「もういいっ」

フードをすっぽりかぶり、椅子にもたれる。

「あーチソン拗ねちゃったじゃん」

なんてロンジュニヒョンの声が聞こえる。

「でもAちゃん一人でこの時間に何してるんだろ？」

ん...？ジェノヒョン...？

A...ちゃん...だと？

「日曜だし、何か買い物とかじゃないの？」

「あ、ねぇ窓あけて声かけようよ」

ジェノヒョン！？

「ちょっとジェノヒョン！？何言ってんの！？」

無視を決め込むつもりだったのに、思わず声が出た。

「ジェノヤ、なんでお前暴走してんの珍しい」

なんてロンジュニヒョンは感心しているし。

「いいね、声だけでもかけようよ」

ジェミニヒョンまで乗ってきた。

窓を開けたジェノヒョン。

みんなが今にも声をかけようとしている中、

練習室でオンマと会話した内容を思い出す。

“Aちゃん、チケット受け取ってくれなかったわ。”

ぐっと

胸が

苦しくなる。

「やめてよ...ほんとに」

小さく振り絞った自分の声。

それを聞いて、騒がしかった声がピタッと止まった。

「...」

一瞬沈黙が走った後、

ジェノヒョンが口を開いた。

「ご、ごめんチソン」

「調子乗りすぎた、ごめんな」

ジェミニヒョンも謝ってきた。

ちがう。

Aヌナと会いたくない、

顔を合わせなたくない、

そんな気持ちの自分が悪いんだ。

「...Aヌナに会いたくない」

ぽつり、と声に出てしまう。

それを聞き、察したメンバーが黙り込む。

ヌナに会ってもきっと黙り込むか、感情のまま話してしまうだろう。

なんでコンサートに来ないの？

何を考えてるの？

俺のこと

嫌いなの？

「ヌナに会いたく...ない」

言うたびに、胸が苦しい。

いいんだ。

Aヌナとは、実家に帰れば会える。

今会わなくても、いつでも会える。

そのときだった。

大きなクラクションの音が鳴り響く。

うるさいからと窓を閉めようとしたジェノヒョンが、外を見て

「チソン！！！！！！」

と叫んだ、真っ青な顔で。

「Aちゃんがっ....」

「え...？」