不器用なりに (ページ25)

今日:1 hit、昨日:33 hit、合計:282,008 hit

25 You side. ページ25

そういえば、顔ちゃんと見たの初めてかも。
いつもつけている黒マスクは、
今はあごの下におろされている。

「そういえば初めて顔見たかも。」

私がそう言うと、彼はえっと言いながら
こちらをみた。

「いつもマスクつけてたから。」

「あぁ～癖で。」

「癖？」

どんな癖よ、そう思ってしまう。

「あ～いや。」

なんとなく濁されてしまった。
まぁいいか。
そう思いながら、ビールを飲む。

「あ！」

「わ！どうしたの？」

いきなり大きな声出すから、びっくりした。
すると彼はリュックをがさごそし始めた。

「はい！お土産です！
おつまみにはならないと思うけど。」

そう言って渡してきたのは、
東京土産の大定番のバナナのお菓子だった。

「わ～！これ懐かしい！東京行ったの？」

「はい、東京に行ってました。
懐かしいって？」

「私東京出身なの！
韓国と日本のハーフなんだ～」

「へぇ！！！」

彼は包装紙を破いて、私にはいどうぞとくれた。