不器用なりに (ページ8)

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8 You side. ページ8

ギリギリで終電に間に合った。
走ったせいでパンプスが擦れ、足首に血が滲んでいた。

電車の中に人は少なく、
駅名を告げるアナウンスだけが響いている。

座席に座り、携帯を見る。
カカオではなく、ラインを開いた。

"A、久しぶり！
今日は結衣と明日香飲んでるよー！
Aも早く日本帰っておいでよ！"

地元の友達からのメッセージ。
恋しい日本語を見ると、泣きそうになる。
一緒に送られてきた写真を見ると、
余計に悲しくなった。

韓国人の父と日本人の母の間に生まれ、
日本で育ち、高校生の時に韓国へ来た。
なんとかそこそこの大学に入り、
憧れだった雑誌編集の会社には入れた。

でも、
私のしたかった事ってなんなのだろう。
最近はこう考えてしまう。

暗い気持ちになっていると、
私の降りる駅についた。

駅のコンビニで、お酒を買おうと手を伸ばした。

ふと、昨日のことを思い出した。

「心臓止まるかと思いました」

「飲んだら堤防の上は危ないですよ、笑」

一気に恥ずかしさとか
なんかよくわからない感情が体に走った。
私は結局まだ開いていたコーヒーショップで
コーヒーを買い、あの場所へと向かった。