3.ライバル ページ3
《ヤスー》
後ろから大倉の声がして振り返れば
《一緒に帰ろ》
『え、大倉残らんの?』
《もう飽きたし、ええかなーって》
ある程度お酒飲んでるのは見てたからほろ酔いの大倉。
まあたまには一緒に帰るのもええかなって思った。
《ヤスはAさんのこと好きなん?》
『…なんやねん急に』
《飲み会あるといつも見てるからどうなんかなーって》
『…先輩として好きやで、仕事できるし』
《…じゃあ、俺がAさんのこと好きやって言ったら?》
『…は?』
《先輩としてしか好きやないんやったら俺が狙ってもええってことやんな》
『本気なん?』
《うん、本気。》
『大倉の周りにおるやつとかと違うんやで』
《分かっとるよそんなの》
《ほんまにAさんの過保護な後輩やな》
大倉のこの言葉に俺は返事ができなかった。
『…俺こっちやから』
そう別れた。ただよく分からん。
わざわざ今大倉が俺に言ってきたことも、俺自身の気持ちも。
・
・
次の日、会社の休憩時間にAさんやな、って思って話しかけに行こうと思ったら、大倉と楽しそうに話してた。
声はほとんど聞こえないけどAさんは楽しそうに笑っとるし、大倉も楽しそうに見えた。
会社の給湯室で何してんねん。
何故かモヤモヤして給湯室入ろうかと思ったけどやめて自分のデスクに戻った。
俺はただの"後輩"だから。
・
127人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:理沙 | 作成日時:2021年9月19日 11時