始末屋さんの甘い誘惑～8UPPERS～ (ページ3)

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ボディーガード【橙】ページ3

ネオン輝く看板に記された店名

the eight

茶色い扉に手をかけるとかすかに震えるドアノブ。

扉を開けると重低音が体の奥を揺らし、ミラーボールが非日常へ客達を誘う。

音楽に合わせて体を揺らす人や酔っ払いで溢れる店内。

その中でひときわ目を引くのがシェリーだ。

ふんわりと巻かれたロングヘアーを束ねてニコニコ笑う姿は男性客たちの注目の的。

しかしながら、当の本人は酒を持って忙しそうに走り回っているためその視線に気がつくことはない。

客に酒を渡し、すぐさまカウンターに戻ろうと振り返ったシェリーをひとりの男が呼び止めた。

「ねぇ、おねぇさん。お酒まだ来てないんだけど～」

「あ、すみません。今持ってきますのでもう少しお待ちください。」

と営業スマイルを向けその場を離れようとするが、

「もうずいぶん待ってるんだけどなぁ～。お詫びに連絡先教えてよ」

とシェリーの腕をグッと引き寄せた。

困った顔であたりを見回してみるが、近くの客たちは面倒事はごめんだとばかりに誰も目を合わせてはくれない。

「タイプじゃないので。その手、離してくれますか？」

と男の手を振り解こうと身を捩るがびくともしない。

「一般人相手にするのって加減がわからないんだよね…」

とため息をついていると、急に腕が軽くなり誰かに後ろからぎゅっと抱きしめられた。

「ちょっとお客さん。うちの子に何してますの？」

と明らかにご機嫌斜めのガムが登場。